人間の頭部の重さは、体重の約10%程度と言われています。体重が50kgの人でも頭部は約5kgあり、500ml入りのペットボトル10本を常に首だけで支えている状態なのです。
交通事故の瞬間、手はハンドルを強くつかみ、足はブレーキを踏みしめ、胴体はシートベルトで固定されます。この際、頭部は固定されてないので、衝突や急停車によって前方に大きく振られ、首はその衝撃を吸収しようとして前方に大きくしなります。またその反動で後ろに反り返り、波打つように頚部(首)に過度な負担がかかるのです。
むち打ち症は、大きな衝突事故だけではなく、低速走行中の事故や軽い追突事故でも発症することがあります。身構えていない状態で衝撃を受けると、体重の約10%もある頭部をささえる首には大きなダメージが残ってしまうのです。
軽い事故だから大丈夫と病院に行かないで済ませると、後で症状が出ていつまでも苦しむことになってしまうので、交通事故に遭ってしまったら必ず医師の診断を受けましょう。
むち打ち症の特徴として、「事故直後に痛みや不調を感じないことが多い」ということが挙げられます。
交通事故に遭うと事故当事者は興奮状態にあり、痛みを感じる感覚が麻痺している場合もあります。数日経過して、首の調子がおかしい、やたらと肩が凝る、などでむち打ち症を疑い、初めて病院に行き診断を受けても、交通事故との因果関係が疑われることがあります。
交通事故による損傷であることを示す診断書がないと人身事故として扱われず、むち打ち症に対する損害賠償請求ができなくなる可能性があります。交通事故に遭ってしまったら、自覚症状がなくても必ず直後に病院へ行き、医師の診断を受けましょう。